「浮世の夢は暁の空」③
つくばの進学塾「竹進」の社会科講師の山口です。
「浮世の夢は暁の空」②の続きです
家康から水戸藩初代徳川頼房(家康の十一男)に贈られた軍扇
<戦の指揮に使う扇>の「金銀日月星紋」は、大層に立派なものです。
骨は黒漆塗り、大振りで表には煌びやかな朱、金の地に日(太陽)、
裏には三日月の図柄(裏を見ることはできませんでした。)が描かれ、
表裏で昼と夜を表現しているそうです。
戦国武将にとって合戦は命懸け、敗れれば敵に首級をとられ、
領地を失い、一族、縁者や家臣に広く累が及びます。
吉日と凶日を気にかけ、軍扇を呪術的な道具として使い分けていたようです。
呪の力を借りても戦いを有利にしよう、と考えることも理解できますね。
今日は仏滅だから表の「日」の方を使おう!と、このような具合でしょうか。
東照宮縁起絵巻の一部で、関ヶ原の戦いを描いた絵が展示されていました。
1600年9月15日朝に始まった戦いはおよそ6時間で決着がつきました。
よく目を凝らして見ると、絵はかなりリアルに描かれています。
矢を体に受けた馬がもんどりを打ち、その背から転げ落ちる武者、
まなじりを決し、刀を上段に振るい、敵の頭上に斬り込む者…。
実戦もこのような有様であったのでしょう。雄叫びや叫喚の声が
あちこちから聞こえてくるようでした。
戦いの凄まじさがこの絵から伝わってきます。
家康が愛用した馬の鞍が展示されていました。
幾多の戦いを潜り抜けたその鞍はピカピカに光っていたのです。
馬上に乗り、戦場で軍扇を手に取って指揮をする姿がありありと
想像されます。
「浮世の夢は暁の空」④に続きます