職員室だより
社長 渡部
2016.04.14
まどろみの中で②
こんにちは、つくばの進学塾・竹進の国語担当の尾高です。
まどろみの中で①の続きです
映画を映画館で観るということは、単に映画を目で追いかけることじゃない。
映画を全身で浴びることなんだ――そんなことを大学でお世話になった
先生がおっしゃっていたことがあります。
もしそれが正しいとするならば、実は意識が飛んでしまっている間も、
人は映画を「体験」しうるのかも知れません。
そういえば、タルコフスキーという映画監督の作品は上映中に眠って
しまってもいい映画だったのが分かるなんて話を、飲み会で隣り合わせた人
から聞かされたこともありましたっけ。
ちなみに「キャロル」で目が醒めたのは、小雪の舞う中、ルーニー・マーラ
がカメラを構える場面でした。
すでにyoutubeに流れていた予告編で何度も繰り返し観ていた箇所ですが、
くりっとした目の女優がカメラを持つことによって、「見つめる」という
行為が前景化されていて、実に美しい。
ふと、吉野弘のこんな詩を思い出しました。
今一つ 私は断言する
美しいものは
眼の愛に射られて
より美しくなってゆくと
恋人を美しく彫り上げた眼を
君が持っているなら
私の断言を容れるだろう
(「眼・空・恋」より)